集団認知行動療法の効果
当院では、2008年7月より、うつの方を対象とした集団認知行動療法を実施しております。
参加者の方には参加開始時(1回目)と、終了時(12回目)に心理テストを実施し、抑うつ症状やネガティブな考えの変化を調べています。以下にその結果をお示しします。
抑うつ症状について
BDIという尺度を用いて抑うつ症状を得点化しています。得点が高いほど、抑うつ症状が強いことを示します。
開始時の得点と終了時の得点に差があるか統計的に調べました。
その結果、統計的にも有意な差がみられました。
ネガティブな考えについて
ATQという尺度を用いて、ネガティブな考えやその頻度を得点化しています。
得点が高いほどネガティブな考えが強いことを示します。
開始時の得点と終了時の得点に差があるか統計的に調べました。
その結果、こちらも統計的にも有意な差がみられました。
参加者の感想
- Aさん
- 自分の不安の悪循環に気づくことができた。そしてそれをどうすればよいのかのヒントややり方を見つけることが出来たので、集団認知行動療法は自分にとってかなり変化を与えてくれる場所だった。また色々な方の話や違った考え方を聞くことができ、何より皆さんとの話し合いが楽しかった。
- Bさん
- 自分の考え方のこだわりをできる限り捨て、がんじがらめになっていた自分を解き放つことができる新しい考え方を持つことができた。集団ということで、他のメンバーに意見をすることで、自分にも言い聞かすことができた。
- Cさん
- 参加出来て良かった。人と話すということは素晴らしいと思った。これまで人が恐いと思っていたが、集団認知行動療法に参加し、自分の悩みを言ったり聞いたりすることで、人と関わることの温かみを知り、人が恐いと思うことがなくなる大きなきっかけとなった。
- Dさん
- 集団認知行動療法に参加してすごく自分にプラスになった。私=駄目人間と勝手に決めつけていることや、白か黒かの考えが強いことなど、自分の考え方や認知の歪みを見つめ直すことができた。自分の中にある問題を少しずつ解決していくことができ、生き方や考え方を楽にすることができた。
- Eさん
- 集団認知行動療法の中で他の参加者の捉え方や対処方法を相互に指摘しあうことで、自分の腑に落ちてゆき、実生活の中で試す勇気を得ることができた。自分はダメだという気持ちが強くなったら、自分が越えやすい位置にハードルを持ってきて、少しでも楽に進めるほうがよい。
- Fさん
- 集団認知行動療法に参加し、人に対する接し方が変わった。『もっと気楽に話してもいいんだ』と思えた。今後困難な状況に直面した時は『自分のできることをやっているのだからいいじゃないか』と自分に言い聞かせよう。
- Gさん
- 物事を極めて主観的に捉えようとしており、思考の働きの中で事実認識が現実と大きく解離している場合があると気づいた。また、物事の受け止め方で不安は大きく上下することにも気づいた。全体的なプログラムは非常に良かった。またホームワークの学習が自分の考えを整理する上で良かった。